ビタミンCの測定にはさまざまな方法があります。
ビタミンCの分析に使われていた方法は時代によって異なり1950年では「滴定法」、1980年では「比色法」、2000年以降からは「HPLC法」(高性能液体クロマトグラフィー法)が主に使われていたとされています。
今回はそのビタミンCの分析法として代表的な「滴定法」、「比色法」、「HPLC法」の3つについて紹介します。
それぞれの特徴と詳細
- 滴定法
- 比色法
- HPLC法 (高速液体クロマトグラフィー法)
[1] 滴定法
「滴定法」は、化学反応の終点を見つけることでビタミンCを測定する方法です。
ビタミンC含有試料に対して特定の試薬を滴下し、反応が完了するポイントを観察します。
「滴定法」は手頃であり、比較的簡単にビタミンCの量を測定できます。しかし、正確性には限界があり、他の成分との干渉がある場合があります。
[2]比色法
「比色法」は、溶液の吸光度を測定することによってビタミンCを測定する方法です。
特定の波長の光を試料に当て、吸光度を測定することでビタミンCの量を推定します。
「比色法」は感度が高く、正確な測定が可能です。しかし、他の化合物との選択性や干渉に注意する必要があります。
[3]HPLC法 (高速液体クロマトグラフィー法)
「HPLC法」は、ビタミンCを含む複雑な混合物中からビタミンCを分離・同定するための高度な方法です。
試料を液体で溶かし、高圧で詰められたカラムを通して流します。すると、カラム内で成分が分離され、検出器でそれぞれの化合物を検出します。
「HPLC法」は非常に高い分離能力を持ち、正確な結果を提供しますが、専門的な機材と知識が必要です。
「滴定法」、「比色法」、「HPLC法」の3つでビタミンCを測定すると、
「HPLC法」<「比色法」<「滴定法」という順に数値が大きくなり、「滴定法」では最も高い数値、「HPLC法」では最も低い数値が得られることがわかっています。
それぞれの手順
- 「滴定法」の手順
- 「比色法」の手順
- 「HPLC法」の手順
「滴定法」の手順
- ビタミンCを含む試料を準備する。
- 標準試液または試薬を用意し、その濃度を正確に知っておく。
- ビタミンC含有試料に対して、標準試液を滴下していく。
- 滴下中、試料中の化学反応を観察する。反応の色や変化がある場合、反応が進行していることを示す。
- 反応が変化したポイントで滴定を終了し、滴下した標準試液の量を記録する。
- 標準試液の量と濃度から、ビタミンC含有量を計算する。
「比色法」の手順
- ビタミンCを含む試料を準備する。
- 特定の波長の光を試料に当て、透過光または吸収光の強度を測定する。これが基準値となる。
- 吸光度の変化がビタミンCの吸光度と関連しているため、試料の吸光度を測定する。
- 標準曲線を作成し、試料の吸光度を基準値に対して比較する。
- 標準曲線から試料中のビタミンCの量を計算する。
「HPLC法」の手順
- ビタミンCを含む試料を液体に溶かす。
- 高圧で詰められたカラムに試料を注入し、化合物が分離される。
- カラム内で分離された化合物が流れ出て検出器に到達する。
- 検出器が各化合物を検出し、ピークが出る時間や高さを記録する。
- 標準試料を用いて標準曲線を作成し、ピークの時間や高さから試料中のビタミンCの量を計算する。
- 分析結果を評価し、ビタミンC含有量を確定する。
これらの手順は、各測定法ごとに異なる特性と用途を持っています。正確な結果を得るためには、実験条件や試料の選択に注意が必要です。
まとめ
この記事では、「滴定法」、「比色法」、「HPLC法」の3つのビタミンC測定法について簡単に説明しました。少しでも歴史や化学の理解を深めるのに参考になればと思います。
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