専門学校は、二年制が一般的でしたが、近年では三年制、四年制といった長期コースの専門学校が増加し、二年制の専門学校だった学校が三年制、四年制の専門学校に建て替えることも少なくありません。
調理の業界も例外ではなく、三年制の調理専門学校というのも存在します。
この記事では、三年制調理専門学校への進学について検証し、実際に入学した人の声をまとめてみました。
進路を検討している方や、「3年間の調理専門学校って具体的にどんなものなのか?」と気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
20代男性
専門学校時代の経験やホテルレストランでの勤務経験、そして職場で知り合った方々の実体験を元にして、記事をまとめています。経験談が多く、データが偏っていることをご了承ください。
調理専門学校の種類
調理専門学校には、さまざまなプログラムが存在し、以下のようなカリキュラムに分かれています。
一年制
「調理師」、「製菓衛生師」などの国家資格の最短取得を目的としたカリキュラムの調理専門学校です。
調理師免許は2年以上の実務経験で受験資格を得るのですが、一年制の調理専門学校だと通常より一年早く取得できます。
包丁研ぎ、洗い物などの基本的なことから、洋食,和食,中華,製菓,製パンなどのすべての調理分野の基礎を学ぶカリキュラムのところが多いです。
魚のさばき方、オムレツの作り方などを基本から学び、座学もあるので洋食,和食,中華,製菓,製パンの一つ一つのジャンルの専門性は低く、調理師免許取得を目的とし、広く浅く学ぶというイメージです。
カリキュラムが詰め込まれている場合もあり、大変なこともあります。
学ぶ座学
- 公衆衛生学…基本的人権である「健康」について深く学ぶ
- 栄養学…私たちが日常食べている食品の中に含まれる栄養素について深く学ぶ
- 食品学…私たちが健全な社会生活をおくるために必要な食品を嗜好、衛生、経済などの側面から学ぶ
- 衛生法規…生涯を通じて健全は食生活を営むことができるように「食」に関する法律について学ぶ
- 食品衛生学…食品による健康被害を予測、予防するための知識について学ぶ
- 社会学…人々の関わり合いの中でできた習慣や文化を学問の視点から学ぶ
調理師などの国家資格を取るためには食品衛生を学ぶことが義務付けられており、上記のような座学がない場合は調理師免許をとれない学校の可能性があります。学校に問い合わせると確実です。
調理師免許の取得条件
- 各都道府県が指定している調理師学校(養成施設)を卒業すること。
- 飲食店などで2年以上の調理の実務経験をもとに、調理師試験に合格すること。
大体は調理専門学校卒業後に調理師免許を取得するケースが多いです。しかし、厚生労働大臣が指定する調理師専門学校でないと卒業後に取得できないため確認は必要です。
二年制
調理専門学校で最も一般的なプログラムで調理専門卒の多くの場合、二年制です。
二年制の調理専門学校は一年次に座学や基本的な調理に加え、洋食,和食,中華などをより深く学ぶカリキュラムのところが多いです。
ホテルやレストラン、カフェなどの研修、インターンに行くこともあります。
もちろん一年制の調理専門学校と同じように調理師免許が取得できるようになっており、ホテルやレストランで調理師として働くことになります。
三年制
今回の題材となっているプログラムの学校です。
調理専門学校では一般的に二年制が主流ですが、中には三年制の調理専門学校も存在します。
プラス一年何やるの?
三年制の調理専門学校には二種類のタイプがあり、「学外活動、研修実習を経験するタイプ」と「調理以外の授業が多いタイプ」があるとされています。
学外活動、研修実習を経験するタイプ
ホテルやレストランなどの研修期間がカリキュラムに入れられていたり、海外研修や食の現場を見に行くということで牧場や畜産場に行ったりします。
二年制に比べて座学が多いという話も聞きます。
調理以外の授業が多いタイプ
調理に加えて農業体験や研修、経営、WEBスキルの学習をするとされています。パンフレットでは、農業の学習を通じて、将来農業レストランを開業することや食材にこだわるスキルを身に付けることができると紹介されています。農業体験や研修、経営、WEBスキルなどの授業が半分くらい入ってきます。
そういった場合は調理専門学校としての顔を持ちながら、農業、経営の専門学校として売り出していることもあり、調理師免許の取得を主としないケースも見られ、取得できない場合もあります。
調理師資格を取得したい場合は学校に問い合わせることをおすすめします。
三年制の調理専門学校って実際どうなの?
三年制の調理専門学校を卒業した人はあまり見かけません。
ホテルレストランで、三年制の調理専門学校を卒業した人から話を聞いたことがありますが、就職先は二年制の卒業生とそれほど変わらないように感じました。
現在、調理の現場では、調理高校卒業の方や二年制の調理専門学校を卒業した人が大半を占めています。私は数多くの現場を見てきたわけではありませんが、40歳以上の人たちを見ると、調理高等学校卒業者と二年制専門学校卒業者がほぼ半々で、若い世代は、二年制の専門学校を卒業してから働いている人が多い印象を受けます。
二年制の調理専門学校の方が歴史も長く、卒業生も多いため、圧倒的に人数が多いと思います。三年制の調理専門学校の数はまだ少なく、情報も限られているので、これは当然のことかもしれません。
2023年現在、三年制調理専門学校に関する情報が十分に収集できませんでしたが、個人的に就職先については二年制卒業生との違いがあまり感じられませんでした。しかし、私が把握していないだけで、実績を残している卒業生も存在する可能性はあります。ただし、調理業界の特性から、何が優れているのか、何が注目すべきなのかという点は明確でないことを念頭に置く必要があります。
まとめ
今回は調理専門学校に焦点を当て、様々な年数の調理専門学校を紹介しました。
率直に言って、どの形態の調理専門学校が最適かという明確な答えは存在しません。専門学校選びは自身の10代や20代の貴重な時間を割くことになるので、慎重に検討することが重要です。単にパンフレットを見るだけでなく、実際に学校見学に足を運んだり、学習環境の雰囲気を感じ取ることをお勧めします。
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