市販のイチゴは確かに美味しいですが、自宅の庭やベランダで手軽に育てることができる家庭菜園で、もっとおいしいイチゴを楽しむことができることをご存知でしょうか?
商業ベースの無農薬栽培が難しいとされる中でも、自家消費を目的とした自給用栽培はそこまで難しいものではありません。ここでは、家庭菜園でイチゴを育てる魅力的な理由を3つご紹介いたします。
- 手軽に始められる
- 無農薬で採れたて
- 完熟したイチゴの味わい
1. 手軽に始められる
イチゴは家庭菜園の中では難しい作業がなく、苗の植え付けだけで手軽に始められるのでおすすめです。
苗だけで始められるうえ、育てる過程や収穫の楽しみを通じて、手軽に新しい趣味を作ることができます。
うまく育てることができれば苗を2年間ほど生育でき、収穫を楽しめます。
イチゴの栽培は難しくなく、どれだけイチゴを狙う天敵に気づかれないかが肝となります。運が良ければたくさんのイチゴを食べられます。運の要素が強い分、収穫の喜びは大きいです。
2. 無農薬で採れたて
イチゴは生食することが多いため、農薬が少し気になる方もいるかと思います。
市販のイチゴは見た目を整えるために農薬が使用されることがありますが、家庭菜園では自分で栽培することで、無農薬の新鮮なイチゴを食べることができます。
もちろん、何も手を加えない分、イチゴは他の作物と比べて狙う虫や鳥が多いため収量は見込めませんが、それでも自給用としてのひと家族分として十分採れます。
家庭で栽培することで、栽培過程をいちから見ることができるので安心と共に自然の一部として成長する過程を楽しむことができ、お子さんの教育としてもおすすめです。
3. 完熟したイチゴの味わい
市販で売られているイチゴは完熟していません。
輸送中に痛みを避けるために「青ちぎり」と呼ばれる未熟な状態で収穫されることが一般的です。そのため完熟した甘いイチゴを食べることができません。
お店でイチゴはほとんどが真っ赤な状態で売られていますが、あの赤色は完熟の赤みではなく、追熟によるものです。
イチゴには「追熟」と言って、青い状態で収穫しても置いとくと時間と共に赤くなる性質を持っています。その青い状態で収穫(青ちぎり)をされたイチゴは追熟で真っ赤になっても甘味は青い状態のままです。完熟したいちごの甘味はありません。
一方、家庭菜園では完熟した状態で収穫することが可能です。完熟のイチゴは、いちご本来の甘さと風味があり、格段に甘いです。
最近では輸送技術が上がり、市販でも「赤ちぎり」(完熟してから収穫すること)がされるようになったため「完熟イチゴ」が置かれていることが増えてはいますが、家庭菜園ならば輸送も何もないので新鮮で勝るものはありませんし、完熟した本来のイチゴの甘さのあるイチゴが食べられます。
新鮮なイチゴが食べられるのは家庭菜園の特権です!
イチゴの品種の選び方
家庭菜園だとまずは苗から買うことになります。
以下ではおすすめの品種を紹介します。
家庭で育てるなら昔の品種を選ぶ!
昔の品種のイチゴは栽培が比較的容易であり、初心者にもおすすめです。
イチゴはハウス栽培で作られているのですが、家庭で育てるとなると露地栽培となるので生命力の強い品種がおすすめです。
経験談に基づくものですが、新しい品種に比べて昔からある品種の方が生命力が強く、育てやすく感じます。
新しい品種は雑草に埋もれて枯れてしまったり、すぐに虫に食べ尽くされてしまったりしますが、昔の品種だと雑草が生えていても多少は生き残りますし、新しい品種よりは食べられにくいです。
実際、「宝交早生(ほうこうわせ)」という昔の品種は露地栽培しやすいことから家庭菜園向けとしてホームセンターで苗が販売されていることがあります。
デメリットとしては市販で売られている「あまおう」や「とちおとめ」といった新しい品種より酸味が強いことがあげられます。
しかし酸味が強いため虫や鳥の寄って来にくいともが考えられますし、家庭菜園では完熟してからイチゴを栽培するため甘さとしては昔の品種でも「あまおう」や「とちおとめ」といった新しい品種に劣らない甘さを発揮できると思います。
「あまおう」や「とちおとめ」といった新しい品種は追熟することを前提に入れて完熟前でもおいしくなるよう品種改良された品種だと思うので、昔の品種でも完熟していれば同じくらいの甘さになると思います。
また、もう一つのデメリットとして昔の品種のイチゴは小粒の傾向があるため市販に売られているイチゴよりは小さく感じるかもしれません。
5株〜10株くらいがおすすめ
家庭菜園のイチゴは虫や鳥などに食べられる前提で育てることとなるので数で勝負した方が良いです。
「そんなに買うの?」と思いますが、3株くらいだと全部食べ尽くされてしまうことがあります。個人的に5株くらいだと家で食べるには楽しめるくらいにはイチゴが残るのでおすすめです。
昔のいちごの品種3選
- 宝交早生(ほうこうわせ)
- 女峰(にょほう)
- とよのか
[1]宝交早生(ほうこうわせ)
家庭菜園で特におすすめしたい品種が「宝交早生(ほうこうわせ)」です。
「宝交早生(ほうこうわせ)」は耐病性が強く栽培しやすいのが特徴で1970~1980年代は全国の6割にも及んだと言われている昔に全国のイチゴ栽培を支えた品種です。
昔の品種であり、そのあとの「女峰」や「とよのか」という品種などの登場であまり見なくなってしまっていますが、ホームセンターでたまに露地栽培がしやすいことから家庭菜園向けとして苗が販売されていることがあります。
[2]女峰(にょほう)
女峰(にょほう)は1990年代後半頃まで東日本の代表品種だったイチゴで、品種登録されたのは1985年と宝交早生(ほうこうわせ)と同じようにかなり昔の品種のイチゴです。
1996年(平成8年)に「とちおとめ」が登場して東日本では女峰からとちおとめへと世代交代が行われてのであまり見ることがなくなりました。
「女峰」は先ほど紹介した「宝交早生」と同じような性質を持っているため育てやすいと思います。
「女峰」は単に甘いだけでなく甘味と酸味のバランスがよく、香りも豊かなので「あまおう」や「とちおとめ」といった新しい品種のイチゴとはまた違う「女峰」ならではの風味があるのでおすすめです。
[3]とよのか
「とよのか」も品種登録されたのは1984年で昔の品種です。
「あまおう」の登場によって世代交代が行われてお店では見かけなくなりましたが、「西のとよのか、東の女峰(にょほう)」といわれ市場を二分するほど昔は人気だった品種です。
現在、とよのかはほとんど流通していませんが、たまにいちご狩りや直売所などでは見かけることがあるので、いちご狩りにいった際は見てみるといいかもしれません。
「女峰」と同じように「とよのか」も少し酸味があって「とよのか」特有の甘酸っぱさがあるのでおすすめです。
おわりに
家庭菜園でイチゴを育てると、お金を節約しながら新鮮な無農薬イチゴの味を楽しめます。また、自分で世話をする楽しみや、完熟のイチゴを食べる特別な喜びも感じることができるのでぜひ、家庭菜園でイチゴを育ててみてください。
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