専門学校は、二年制が一般的でしたが、近年では三年制、四年制といった長期コースの専門学校が増加し、二年制の専門学校だった学校が三年制、四年制の専門学校に建て替えることも少なくありません。
二年制の専門学校と、それ以上の期間を要する専門学校との違いを知ることは、進路選択の際に重要です。以下では、二年制と三年制の専門学校における主な相違点について詳しく説明します。
取得できる称号と資格の違い
称号
専門士
二年制以上の一定の条件を満たした専門学校(認可校)を卒業すると、「専門士」という称号を得ることができます。大卒の「学士」といった「学位」ではなく、「称号」といった別の概念です。この称号は、履歴書には記載しませんが、編入制度のある大学に編入したいといったときには役に立ちます。二年以上で一定の条件を満たしている専門学校であれば取れる称号なので二年制と三年制で専門士については違いはありません。
「専門士」の称号が付与される専門学校の要件
・修業年限が2年以上
・総授業時数が1,700 単位時間( 62 単位)以上
・試験等により成績評価を行い,その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること
大体の二年制の専門学校は条件を満たしたおり、取得できると思いますが、確認は必要です。
称号としては二年制、三年制と差はないので、特定の資格を目指さず、「専門士」という称号を利用したいという場合は二年制の専門士が取得できる専門学校を選んだほうがいいと思います。
高度専門士
四年制の文部科学大臣が認めた専門学校を卒業すると「高度専門士」といった称号が取得できます。「高度専門士」は四年制大卒の「学士」と同じ効力をもち、大学院に進学できると言われています。四年制のある専門学校のパンフレットでは「学士と同等で大学院に進学できる!」とされており、進学できる制度はありますが、実例は聞いたことがありません。
「高度専門士」の称号が付与される専門学校の要件
- 修業年限が4年以上
- 総授業時数が3,400 単位時間(124 単位)以上
- 体系的に教育課程が編成されていること
- 試験等により成績評価を行い,その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること
取得できる資格
二年制の専門学校で取得できる資格
二年制の専門学校で多い業種は調理系、福祉系、美容系です。資格としては以下のものがとれます。どれも国家資格で一度取得すれば、生涯使えます。
実は、調理系の分野には一年制の専門学校があり、この中で調理系の「調理師」、「製菓衛生師」は卒業すれば一年で取得できます。しかし、先ほど紹介した「専門士」の称号は取得できません。
- 調理師
- 栄養士
- 製菓衛生師
- 美容師
- 理容士
- 介護福祉士
- 保育士
三年制の専門学校で取得できる資格
三年制専門学校では整体師などのリハビリ系や医療系の業種が多いです。資格としては以下のものがあります。
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- はり師・きゅう師(鍼灸師)
- 柔道整復師
- 歯科衛生士
- 愛玩動物看護師
三年制専門学校に行く意味
三年制の専門学校は、国家資格取得を目指す場合には有意義だと思います。特に医療系の国家資格は三年以上の修業が必要で三年制の専門学校だと最短で資格を取得することができます。
四年制の大学の人よりも一年早く、現場で必要な経験を積んだり、人間関係を構築することができる点で、就業後の人生設計をたてやすく、就業後なにかしらの問題があった際に対処しやすくなります。病気にかかったり、仕事をやめたくなったりした場合、若いうちから考えられるという点ではかなりメリットがあると思います。
検討すべき分野
三年制の専門学校には、有意義な教育を提供する学校もありますが、一方で意義が疑わしい学校も存在します。
少子化の影響により、専門学校への入学希望者が減少しており、一部の学校は学費を稼ぐために学生を長く在学させる方針に変更しているだけの学校があるからです。
専門学校には多岐にわたる分野があり、「音楽・イベント」「アニメ、デザイン」「IT」などの分野も含まれます。これらの分野にも三年制の専門学校も存在しますが、資格取得が主な目的ではないため、二年制や三年制の卒業による大きな差はあまり見られません。
実際に、三年間学んだことが就職活動において有利に働くことは稀であり、これらの分野では現場での経験が重視される傾向があります。そのため、一年を消費してしまうことが、就職活動においてマイナスの要因となる場合もあるかと思います。
人それぞれに適性があり、その人に最適な選択が何かは断定できません。ただし、専門学校の三年間を選ぶ場合、一年分の学費がかかることや時間を費やすことを考慮する必要があります。個人的に、「音楽・イベント」「アニメ、デザイン」「IT」などの分野は就職活動、その後のキャリアにおいて若さがアピールポイントとなることがあるため、二年制の方が好ましいと考えます。
最近では、二年制の専門学校が三年制や四年制に変わるケースが増えています。このような変化が起こる理由や教育内容の充実度を自己で考察し、ただのお客さんにならないように気をつけましょう。
まとめ
三年制専門学校の利点
- 国家資格取得に有利(特に医療系国家資格)
- 就業後の人生設計を早く立てられる(四年大学卒と比較して)
- 一年早く実務経験を積み、人間関係を構築できる(四年大学卒と比較して)
検討すべきポイント
- 一部の学校では学費稼ぎが主目的になっている可能性がある
- 専門学校卒業が就職活動に有利とされる分野もあれば、実務経験が重視される分野もある
- 分野によっては、若さがアピールポイントになるため、二年制が適している場合もある
以上、三年制専門学校の概要を説明しました。
学校教育の変遷や多様化が進む中で、専門学校のカリキュラムや在学期間が変わり、社会全体の価値観にも変化が見られるため正解は一概にはありません。
ただし、働く期間が学ぶ期間よりも長いことを考えると、進路選択においては将来の職場やキャリアを見据えることが重要です。入学してからの後悔や中退を避けるためにも、貴重な10代や20代を有意義に過ごすために、慎重に進路を選択することが重要です。
ここまで現実的な視点でお話ししましたが、結局は自分が楽しめる選択をすることがいちばん大切です。進学を考える時間がある方は、様々な情報を集めて検討することをお勧めします。将来に向けて自分の興味ややりたいことをしっかりと把握し、その上で進路を選んでいただければ幸いです。
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